第1章 神魔
(1)統合(的)神話学(神魔学)
1 神話学と宗教学
2 統合神話学(神魔学)
(2)神魔とは
1 神と悪魔、天と鬼の関係
2 神魔とは
3 人間と共に変化する神魔
(3)神魔の所属的分類(種族)
1 種族とは(大種族と種族、主種族と副種族、地位的(内観的)種族と外観的種族)
2 大種族と種族の一覧(仮)
3 神魔からみた「ヒト(亜人・獣人・人獣)」
(4)万物の要素(属性)
1 中華・大和の陰陽五行説
2 エウロパ・オリエントの4元素
3 属性と魔方陣(五芒星・六芒星・八芒星)
4 四元素八大属性と三大原理
第1章 神魔
(1)統合(的)神話学(神魔学)
1 神話学と宗教学
神話を解釈したり、分析して再分類したりする学問。各神話の特徴や相違点から、その基礎となりうる宗教感覚や心理・哲学の関係を紐解こうとするものである。また、複数の神話の間の相違点の比較研究は「比較神話学」といわれている。関連している学問は、歴史・考古・地誌学などの歴史的な分野、宗教・心理・哲学などの心的分野、文化人類・民族・言語・社会学などの社会的分野、文献・物語論と文学理論などの文学構造的視点の分野などがある。
「比較神話学」では、類似点を見つけまとめていけば、人類の普遍的な発想の源が発見できるということに注目していていることが特徴的だ。その普遍的発想の根源を「神話の種」とよばれている。
宗教学についてもかなり範囲は広く、一つの宗教を深めていく形や他宗教と関連して行く形、より現代に即したものにその宗教をさせようとする研究などがある。また、神話学のように「比較宗教学」というのもある。
歴史的にもキリスト教では複数の解釈・価値観により多くの宗派を出し、争いや革命をくりかえしていきていた。つまり昔からその世界観での宗教学は続けられて来ていると捉えることができます。宗派ごとの研究・思考だけでなく、同じ世界観・宗派でも複数の分野に分けて試行することもでき、「神学」と「悪魔学」は基本的に同じ宗教内の要素を専門的に研究して出来上がった学問なのである。
もちろん、一つの宗教のみの研究でも他の宗教の影響は受けている。各原始宗教ですら、必ず他の宗教や文化・神話に影響されて作られているのだから。だからそれの派生版も改良版も研究も完全孤立ができる方が珍しいと思う。ただ、比較して相違点を見出すために他宗教にふれるのか・その宗教の発展の為に他宗教を参考にするか、という感覚の違いで比較宗教学かどうか決め手になるのだろう。
客観的に宗教学の体系内容の様子・構成をみると、「①同宗教内での分野・要素」・「②同宗教内での異宗派別」・「③関連・派生宗教の分野要素・宗派の比較(比較宗教学)」の視点での研究・思考がメインになっていると考えられる。
たとえば①では、唯一神・天使・悪魔(キリスト)について、天使・悪魔(ゾロアスター)について(他にもユダヤ・イスラムも)、天津神・国津神(神道)の研究といった、宗派別にみるのではなくキーワード別に同宗教内でみていく形式などのことだ。②は、カトリック・ルーター(キリスト・宗派別)、曹洞宗・日蓮宗(仏教・宗派別)、禅宗・唱える系宗派(仏教・大きい括りの宗派)、浄土宗系と日蓮宗系(仏教・南無阿弥陀仏と南妙法蓮華経系)、大乗と小乗(仏教・違う総称別)など。③は、キリスト・ユダヤ・ゾロアスター・イスラム、仏教・ヒンドゥーなど。
また、③は「比較神話学」として広がる可能性があり、イスラム教と古代アラビア伝説、インド神話とヒンドゥー教、中国思想と中国神話、ゾロアスター教・ヒンドゥー教と神話(多神縛りで研究)、二元論と多神教(善悪の神、八百万の神)、などより幅広く要素ごと比較したり括りつけたりすることができる。
2 統合神話学(神魔学)
括りの大きさでみると、「宗教学⊆比較宗教学⊂比較神話学」という集合体の関係であるともみることができる。神話学は一口に神話のみならず伝説や物語や哲学など思想の基になる文化があるので、神話学に宗教学は属すると考えています(宗教学⊂神話学)。比較神話学といっても、前述したように多くの分野(歴史的、心的、社会的、文学構造的分野)を比較対象にするので、宗教だけでなく多くの情報と研究を必要としていることは想像できるだろう。
しかし、私は「比較神話学」という視点ではなく、全ての神話学・宗教学的要素を1つの人類によりつくられた「物語」として独自にまとめ上げようという目的で、複数の神話・宗教等を調査・研究を試みている。比較したり積集合的な人間の発想の源=神話の種を抽出したりすることを基本的にはしないものとする。旧約聖書の人類によるバベルの塔建設が神の怒りをかい、共通した言語を破壊され複数の言葉が生まれ、その代わりに言葉・民族ごとの文化や争いによる技術スキルの急速化を手に入れた話がある。一つのものが砕かれ複数に散らばるという感覚のまさにその反対、逆バベル現象をしていくことを目指している。もちろん飽くまで試みであるので、必ずしもきれいにまとまるわけはなく、漏れもおおく存在し続ける。しかし数学の解が限定できる問いとは違い哲学の要素を含むため考え続けることに深い理解・学びへの道があり、人それぞれ違っても当然な学問でもある。そのなかで大事なのは自分の統合的思考・思想をいかに(結果も経過も)表現し残せて発信できるかで学問のなかで良し悪しが決まるのだろう。
以上の概念は、比較というよりも再配属の処理をすることで統合していくという形をとっており、私はこれを「統合(的)神話学」と呼ぶ。さらには、神話ごと宗教ごとではなく、1キャラクターごとまとめるので、全てのキャラクター(神・悪魔・鬼・妖精・精霊…)を総称して「神魔(しんま・symma)」と表現しており、神話学に属さず独立した学問と考えると「統合神話学」を「神魔学」という表記にする。
どの宗教・神話が違うとかよいとかではなく、全てが一つの存在・世界観に含まれていることを目指している。何かを限定・比較決めつけるのではなく、全てを含むことを受け入れる一つの物語にしていきたい。
(2)神魔とは
まず「神魔(しんま・symma)」という言葉について解説するには、一般的に対となりうる「神と悪魔」「天と鬼」などの比較神話学の視点で考察していくことから始めたい。
1 神と悪魔、天と鬼の関係
キリスト教などの一神教において、神は世界の創造神かつ最高神、人を支配する絶対神である一つの超存在(唯一神)であり、悪魔はその唯一神に敵対する超存在と位置付けられている。人が神の下ゆえ、神の敵悪魔におかされるのかもしれない。
悪魔とは基本的には天使(神の下の超存在)が神の意に反し抗うようになり、それを神は堕落とみなして「堕天使」という表現をするのですが、時代につれてそればかりではなくなってきている。他の神話・宗教などの他世界観の悪霊や悪神、精霊や神をこの世界(キリスト教など)において悪魔として持ってくることが多くある。もともと悪だったり人から畏れられてきた古来からあるアニミズム的な超存在を、比較的歴史の新しい神「唯一神」からみて人間を脅かす・惑わす存在だったり野蛮だったりとするからか同等の存在として認めないのは当然、神の理想に背くものとして悪魔扱いになる場合も出てきた。そしてもうひとつ、異宗教や不都合な民族の除去・自宗教普及を目的とした人類迫害のための悪魔だ。神を悪魔と烙印を押すことで、その地の資源をわがものとするためなどでその民族・国家で信仰ある超存在(精霊・神)を悪魔として取り組むことにより、自宗教信者の相手の宗教の悪い固定概念を宿らせる効果や相手宗教の弱体化の効果もある。
魔王でみてみると、ルシファーは天使ルシフェルだった時期があるので前者の「堕天使」、同一視されていますがサタンはアラビア系の伝承の悪魔・精霊のアル・シャイターンが基になっている根っからの悪魔。じつは同一視するに値できるかどうかわからない過去のルーツ(キャラ)をそれぞれ持っている。そしてベルゼブブとアスタロトはオリエント神話群のバール・ゼブル(偉大な王、最高神)とその妻アスタルテ(≒アシュタルテ、シュトレトなど、月・性の女神)であったので元神の悪魔と分類できる。他の神話宗教を衰退・差別させるための悪魔化だったのだろうか。
つまり、悪魔と一口でいっても実は元天使の「堕天使」という分類の悪魔とは別に、神やその他の超存在だった悪魔もいるわけである。
それとは逆に悪魔が神としての力を得ることもある。それが近代魔術や秘密結社など深くオカルトと関わる悪魔崇拝という概念だ。この言い方はあくまでキリスト教などの目線でモノをいっているので悪魔を信仰しているという負の感覚が多くある。先程言ったようにもともと神だった悪魔もあったこと等を考えてほしい。中には完全悪の宗教とはちがい確かに異様な宗教・信仰ではあるがそこまで不思議に感じる崇拝ではないはずだ。悪魔崇拝の対象によっては、この信仰によって力(支持力)を失った神も再び神として存在する可能性ができ、そして以前神としての力とは別の更なる力・価値観を手に入れることができるのだ
キリスト教などだけではない。元は川の神だった存在が妖怪(河童など)になったり、インドの神が仏教では下級超存在天部(如来>菩薩>明王>天部>阿羅漢と高僧)となったりもしている。
川と鰐の神クベーラは四天王の多聞天(七福神の毘沙門天)、雷神インドラは仏教の帝釈天などだけではなく、インド神話の悪鬼(鬼神)アスラは仏教の守護神として八部衆の一員になっているなど悪が善とされているものへ変わっていることもある。
このように一般的に神と考えられる超存在と魔と考えられる超存在は互いに相互関係にあるばかりではなく、常にどちらにも変化する可能性をもっている。また、人も神なることも魔になることも見られているので、神と魔だけでなく、人も深く関係しているのだと考えている。
これらの理由をもって、善悪も姿も関係なく総称した「超存在」を私は「神魔」と呼んでいるのだ。
2 神魔
上記のように神とは唯一神のみではなく、元神の時期がった(ある神話・宗教では神)の悪魔も含まれており、魔には悪の化身を意味するものではないことがわかる。「神魔」とは、神か悪魔かではなく、人・動植物以外の超存在(超生物・非現実的存在)の総称として言語的に表現したものなのである。
神魔を「shinma」とせず「symma」とするのは、象徴(symbol)・対称(symmetry)をイメージしており、「sim-」は「一緒の・共に」を意味付けがある。symbolは「一緒に」+「投げる」(そのもう一つの言葉と一緒にくっつけて投げる=別表現・象徴)、symmetryは「同じ」+「尺度・時間空間を測る」(=対称・調和・釣りあい・同情)という言語構成をしている。神魔も各々の価値を見致すために、何かの象徴になったり他神魔との調和・関係に位置していたりして存在し続けているという概念からきている。
神魔は人に依存して存在を認識させ、変化していくもの。今まで自分の宗教をもとに悪魔と分類していたものも、実はより細かく見つめて地位の再配属をしていかないと、神魔学(統合神話学)の学問の目標・意義とは一致できないのだ。その上で、「神」と「悪魔」という言葉は正式に分類できないとわかったので種族分類ではこの二語は使わないようにしなければならない。神魔の分類は神魔学の視点で一つひとつ見ながら相互性を理解していることが必要とされているのだ。
(種族については1-3で解説します)
3 人間と共に変化する神魔
神魔は人の道具として扱われる場合もあるだろう。神魔は政党の選挙のように主流神話・宗教は動き進化してゆき、内閣総理大臣の支持率で政治や国の浸透力に影響するように神魔も支持率によってその世界での優劣関係がでてゆき人間に与える影響力も変化していく。人気のある神は力を増しより強力なものになり信仰を深めていくし、人気が落ちると力が衰えたり、姿がかわり弱体化・悪魔悪霊化してしまったりするのだ。神魔の人間干渉も楽でない。より優位な地位・キャラで人間を見たい(困らせたい?)、そのような心理が目に見える。また、唯一神の引き立て役としての魔王など、結局はキリスト教を反映させるために裏で同盟をくんでいたら、実際の神話・宗教とはべつに本当は仲が(?)よいのかも、と考え方を変えればより神魔の位置関係・キャラが深まる気がする。その考え方が比較宗教学・比較神話学とはちがう神魔学(統合神話学)の特徴なのかもしれない。
そして超存在が神・魔に変わるのは人によって決まる。人の宗教心の量と質で超存在は地位を作りだし、能力を身に付けていく。人が水と関連づければより水の神格を強めますし、悪・危険と見なせば悪神や悪魔になる。神と言うよりは精霊的なものだと捉えるものが強くなればそれは神ではなく神霊・精霊として変化するし、人の姿をとると人が信じればその超存在は人の形を象るようになる。
人が新たな神をつくり信じたり忘れればその超存在は力が弱まり人の世界に維持し続けることが難しくなる。つまり超存在は人の精神によってこの世界に権現し、人の支持率・概念で変化しうるという超存在であるのにかなり人に依存した存在ばかりなのだ。
もし、人に依存しない超存在がいるとするなら、その存在は人間には認識できない。なぜなら、人間に媚をうってこの世界に権現したり人間社会を左右させようという興味がない超存在であるからかもしれない。
途中です!(3)神魔の所属的分類(種族)
1 種族とは(大種族と種族、主種族と副種族、地位的(内観的)種族と外観的種族)
2 大種族と種族の一覧(仮)
内観的種族 外観的種族
(地位的種族)
神 |
天神 |
龍 |
龍神 |
|
冥神 |
|
龍王 |
|
守護神 |
|
龍鳥 |
|
死神 |
|
鱗蛇 |
|
荒神 |
|
邪龍 |
|
邪神 |
鳥 |
神鳥 |
鬼 |
鬼神 |
|
聖鳥 |
|
飛天 |
|
鳥獣 |
|
闘鬼 |
|
怪鳥 |
|
邪鬼 |
|
凶鳥 |
|
堕天使 |
獣 |
神獣 |
|
魔王 |
|
聖獣 |
霊 |
神霊 |
|
妖魔 |
|
地霊 |
|
妖獣 |
|
精霊 |
|
魔獣 |
|
妖精 |
蟲 |
聖蟲 |
|
亡霊 |
|
妖蟲 |
|
悪霊 |
|
凶蟲 |
樹 |
神樹 |
||
他 |
原初神魔 |
|
妖樹 |
|
造魔 |
||
|
人 |
人獣・人獣・亜人 |
3 「ヒト」という種族(亜人・獣人・人獣)
神魔からみた「ヒト」
(4)万物の要素(属性)
1 中華・大和の陰陽五行説
(陰陽、五行、空間(方角)と意味)
2 エウロパ・オリエントの4元素
3 属性と魔方陣(五芒星・六芒星・八芒星)
4 三大元素八大属性
(造語、統合的神話学の視点で)